第九章 遼東半島占領事件
第六段 略奪者の仲間いり
ニコライ二世帝は個人的な名誉欲にを満たす為に他国領土を占領する事にした様です。
誰もウイッテ伯の考を聴き入れない
その後暫くたってからウイッテ伯はムラヴィヨフ伯に逢いました。
彼はウイッテ伯に向かって、次のような言い訳をしました。
「君は会議の席上で、ドイツの青島占領が我々に有害であるとしたら、当然ドイツに対して積極的手段を講ずる必要があると言われたが、我々は既にドイツのやっている行動に不用意な同意を与えてしまった。君の意見の様に清国の領土を占領しない事は我々に出来るだろう。
しかしドイツに対してはどうする事も出来ないではないか。」
しかしウイッテ伯は、陛下の取られたこの決定がもたらす危険な結果を予見して、そのままに屈してはいなかったのでした。
そして何とか彼等を反省させ旅順と大連を放棄せしめようと努力したのでした。
ウイッテ伯はムラヴィヨフ伯と幾度か激烈な論争を繰り返しました。
そのためにウイッテ伯と彼は永い間冷たい関係を持つようになったのでした。
どうにかして賢明な政策に引き戻そうとしたウイッテ伯の一切の努力は、空しい結果に終わりました。皇帝はまだ若かった。
勝利と名誉とを渇望しているのです。陸軍大臣と外務大臣は、旅順・大連の占領はロシアのために利益であるとそばから使嗾している。
陛下がこの二人の大臣の意見に陥ったのは、むしろ当然の成り行きだったのでしょう。
ムラビヨフ伯のセリフがいまいち良くわかりません。なので、想像で補ってみます。
「君は前の会議で、こう言った。
ドイツの青島占領は、ロシア帝国の立場を世論から悪い印象を与えてしまう。
何故ならば、ドイツは、二人のドイツ人宣教師の殺人事件を建前に清国の領地占領を行った。
殺人事件は、司法の範疇で解決できる事案だ。
だが、これは国土占領という安全保障を脅かす物だ。
我がロシア帝国は、かつて日清戦争後に戦争勝利の権利である遼東半島を隣国の安全保障上の安寧の為という理由により、日本からその権利を放棄させたことがある。
今回のドイツの占領行為は日清戦争後の事案より更に安全保障上見逃せる事案ではないか。よってドイツに対して積極的に占領をあきらめさせる必要がある。
だが既に、我がニコライ二世帝はドイツ皇帝に対して、膠州湾占領を容認する様な対応をしてしまった。
我々が遼東半島の占領計画をあきらめることは、今からでも十分できる。
しかしドイツに対しては、今更占領をあきらめさせる事は不可能であろう。
それならば、我がロシアが遼東半島を占領しなけければ、損をするだけではないか。」
多分こんな感じではないではないあだろうか。
ロシア帝国が遼東半島を占領した理由は、ウイッテ伯は、ニコライ二世帝が若い為であり、勝利や名誉が欲しい為であると考えている。
ニコライ二世帝は、自分の立場を理解できていません。
個人の欲を国力を使って満たそうとしています。一体何人の人間に影響を与え、個人の欲に巻き込んだのでしょうか。