給食の時間 007 食用昆虫はアレルゲンを含むのか

旧私欲の時間のタイトル給食

人類の「三大欲求」と言えば「睡眠欲」、「食欲」、「性欲」の3つ。
その中の「食」について考えてみよう。

「コオロギ」を「コオロギ」と表示しない場合もある

前回までで、食品の表示に「コオロギ」と明記されるか。という質問で政府の答弁で、複合原材料として「コオロギ」を使用した場合、食品表示基準第三条第一項によると、必ずしも「コオロギ」と表示されない場合もありうる。とのことでした。
表示なしで「コオロギ」を食べたくない人は、今のうちに何とかしておかないと、知らないうちに食べていることもあることでしょう。

国会で食用昆虫のアレルギー対策について質問があった

参議院第210回国会(臨時会)令和4年12月16日にて、質問主意書、質問第五五号、「昆虫食とエビ・カニに対するアレルギーの注意喚起の必要性に関する質問主意書」が提出されてます。

質疑書

答弁書

質問
一 昆虫が「食品表示基準について(平成二十七年三月三十日消食表第百三十九号)」内「別添 アレルゲンを含む食品に関する表示」に定められている「特定原材料」の七品目と、「特定原材料に準ずるもの」の二十一品目に含まれていないのはなぜか。


一について答弁
 特定原材料(食品表示基準(平成二十七年内閣府令第十号)第三条第二項に規定する同基準別表第十四に掲げる食品をいう。以下同じ。)又はこれに準ずるものとして「食品表示基準について」(平成二十七年三月三十日付け消食表第百三十九号消費者庁次長通知)により表示を推奨する食品(以下「特定原材料に準ずるもの」という。)については、おおむね三年ごとに全国のアレルギーを専門とする医師を対象として実施している「即時型食物アレルギーによる健康被害の全国実態調査」の結果を踏まえて、当該食品に該当するかどうかを判断しているところ、昆虫については、近年の当該実態調査における結果を踏まえて、特定原材料又は特定原材料に準ずるものとはしていない。

最近の「即時型食物アレルギーによる健康被害の全国実態調査」は2022年6月に調査しています。

消費者庁食品表示企画課が実施しているようです。

今回の調査では、アレルギーの原因物質が食物以外のもとして「ダニ」によるものが報告されています。
また、アレルギーの初発時期の調査で甲殻類によるものが確認されています。多分、カニ・エビのたぐいのものと思います。
これらの資料を見て思ったことは、アレルギーの被害が出ない限りこの調査にはカウントされないと言う事です。
そして、この調査に取り上げられなければ、特定原材料として認定される事はないと言う事です。

消費者庁から 「別添 アレルゲンを含む食品に関する表示
と言う資料が出ています。問答になっている資料です。

(B-2)特定原材料等はどのように決められているのですか。
(答)
アレルゲンを含む食品に起因する健康危害を未然に防止するため、表示による情報提供の要望が高まってきたことなどから、当時、厚生省においてアナフィラキシー等、重篤な健康影響を起こしたアレルゲンが何かを明らかにするための調査研究が行われました。
平成8年度及び平成9年度は即時型反応を惹起する食物アレルギーの頻度調査を全国規模で年齢別に行い、また、平成10年度及び平成11年度は食物アレルギーの診断を直接行う医師が関与した即時型アレルギーを引き起こした患者について、全国の医療機関を通じて実態調査が行われました。


全ての食品はアレルギーを引き起こす可能性がありますが、これらの調査に基づきその中で特に症状が重篤となるためアレルギー表示を行い、情報提供の必要があるものについて検討することとなりました。
そこで、研究成果を基に、過去に一定の頻度で血圧低下、呼吸困難又は意識障害等の重篤な健康危害が見られた症例から、その際に食した食品の中で、アレルギーを引き起こすことが明らかにされた原材料24品目を特定原材料等として指定されました。

健康危害を未然に防止するために、特定原材料を指定し、表記するのですが、呼吸困難、意識障害等の重篤な健康危害が見られた症例が無いと指定できないようです。

質問
二 政府は、米国食品医薬品局がツイッターを用いて、外国において、エビやカニのアレルギーを持つ人に対して「昆虫を食べないでください」と呼びかけていることを認識しているか。


二について答弁
 米国食品医薬品局が御指摘の趣旨の情報発信を行っていることについては、認識している。

米国食品医薬品局がツイッターでは、下記のようなことが書かれているそうです。
そうなんです!これはお伝えしなければいけません!
魚介類のアレルギーがある人は、セミを食べないでください。この昆虫は、エビやロブスターの親戚関係にあるからです

また日本のアレルギーの研究もあります。KAKEN の研究報告です。
食物に潜在する消費者が認識困難な甲殻類アレルギーリスク因子の同定と評価
補助金を捻出して研究した結果を、活用してほしいです。

質問
三 徳島県立小松島西高校では、コオロギ入りのカボチャコロッケを食べるかどうかは選択制だったが、その理由は、報道によれば「昆虫食に抵抗があるか否か」であった。
今後、徳島県立小松島西高校の事例を参考にし、他の学校でも昆虫を給食として提供する学校もあろうが、昆虫食に抵抗はないがエビやカニに対しアレルギーを持っている児童が昆虫を食べて、アレルギー反応を起こしては一大事である。
政府は、給食を提供する学校に対し、エビやカニのアレルギーを持つ人に昆虫の提供を差し控えるよう呼びかけるべきではないか。政府の見解如何。


三について答弁
 学校における食物アレルギーを有する児童生徒等への対応については、文部科学省において、「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン(令和元年度改訂)」(令和二年三月公益財団法人日本学校保健会作成)等を発出し、各都道府県教育委員会等を通じて各学校等に周知しているところであり、その中で、「食物アレルギーはあらゆる食物が原因」となることや、「個々の児童生徒等のアレルギーの原因となる食物を学校が把握することが取組の前提」となることを示しており、これらを踏まえ、各学校において、個々の児童生徒等のアレルギー疾患に関する情報を把握し、適切に対応されるものと考えているが、御指摘の「昆虫食」によるアレルギー反応についても、必要な注意喚起を行ってまいりたい。

学校においては、食物アレルギーに対してのガイドラインが有るようで昆虫食によるアレルギーについても必要な注意喚起を行ってゆくようです。

消費者庁の〈プラントベース食品関連情報〉というサイトが有ります。そこで、消費者庁の昆虫食のアレルギーについての扱いについて述べています。

問13
昆虫食に食物アレルギー表示は必要ですか


現時点(令和3年8月)では、「昆虫」は食物アレルギー表示の対象として定められている特定原材料等に該当しないため、食物アレルギー表示は必要ありません。
なお、例えば、事業者において、根拠に基づき、一括表示枠外に「本品に使用されている●●(昆虫由来の原材料を表示)は、甲殻類と類似した成分が含まれています。えびやかににアレルギーをお持ちの方はお控えください。」等、注意喚起表示を行うことは可能です

文科省には、「食用昆虫のアレルギー対策に対して必要な注意喚起を行う。」ですが、


消費者庁は、「注意喚起表示を行うことは可能」と一歩引いた感じなのが残念です。

まとめ

「食用昆虫はアレルゲンを含むのか」という問いに、現在の日本政府の見解は、外国の政府が「含む」と言っているのは認識している。
日本の研究でも「含む」ことは、公表されている。
ですが、2023年4月現在、法令上は「食用昆虫にアレルゲンは含まない」です。

今回はここまで。

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